手術が終わりました。

カシャンと電気がつく、私はまぶしくて目が開けられない、寝台がうえに上がる声が聞こえる、左腕に点滴がうたれる、
右腕に血圧計が取り付けられる、胸に心電図が取り付けられる、ピッピッピッと聞こえる、左から冷たい声が飛んできた
「脈拍が遅い」私は心の中でつぶやく、(いつもの質問がくるな)なにかスポーツをやっておられましたか、(バカ、スポーツをやっていたらこんなドジな生活してるか!)なにもやってません、いつもこんなに遅いのですか、いつもかどうか知りませんが医者にはいつも言われます、遅いと悪いですか(いつも医者にする答えのわかってる質問をする)いや!わるくはありませんがー、長生きするかもしれませんねー、(一番悪い答えだ)
昨日から今日のために絶食をしてきたのにまた浣腸をさせられた、看護婦が何も入っていませんと便を見ていった、
だから我慢して何にも食べてないっていてるでしょう。まず大腸の癌の検査をおこないます、それから本題の手術をおこないます。少し眠くなる麻酔をしますので我慢してくださいね、最初は少し痛いけど我慢してね、看護婦は事務的に言った、
では左を向いてください、そのとき右から先生らしき人が入ってきた、おそらく白い巨塔財前五郎みたいな人だと思う、
両手を白いビニールの手袋を胸の辺りに上げ、5,6にんいるスタッフを眺めて、始めます、というのだろう。
私はウッとうなった予想以上に痛いのだ、それを我慢しているとなんだかウトウトしてきた、何か白いモヤがかかったような風景が写りスローモーションに子供が深い森の中をはっはっはと笑い、はしりながら中に入っていく、私が危ないからいくなーと叫んでいる、どこかで見たような映像が頭の中に浮かんでくる、(テレビのみすぎかな)周りの声が聞こえる、例によってワウワウとはっきり聞こえない、どれほどの時間がたったのだろうnititodesuさんnititodesuさん、聞こえますか、聞こえますか、終わりましたよ、
手術中の赤い電気が消える、ドアを手術台が押し開ける廊下に出る、人がよってくる、先生、だいじょうぶですか、出来る限りのことはやりました、あとは本人の体力しだいです、先生は寄ってきた人を押しやるように医局に戻った。私は意識がもうろうとしていましたが、はっきり思い出せます。私は病室に入りました、看護婦にいって無理を言ってテレビを付けてもらいました、案の定記者会見が始まっていました、ひな壇に乗った人々一番手前に国の偉い人、隣にいましゃべっているのが主治医、いま手術をした人物、えー手術は成功です、記者たちからオーを言う叫び、私はテレビを消しました、(何を言ってやがる俺は痛いんじゃー動かれないんじゃー)とにもかくにも日本は救われました。